バイオシールの遠心機ローターでラボを安全に

2023/02/23
現代の遠心分離機であるバイオリサーチのユビキタスエンジンと、病原性物質の分子レベルの漏出も防ぐシーリング技術について、詳しくご覧ください
 


クリームと牛乳を分離する新しく優れた方法として、150年前に遠心分離機が誕生した時、誰もラボからの漏出を心配していませんでした。時代は変わり、遠心分離機はライフサイエンス研究で主力製品となっています。壊滅的なパンデミックにより、世界中で600万人以上が亡くなっています。現在、人々は、ラボからの漏出の可能性について懸念しています。また、最新の遠心分離機では、漏出に対処する作業者の安全性の確保を考慮して設計されています。
 
そのため、バイオリサーチのユビキタスなエンジンの詳細を確認する価値があります。また、安全な動作を確保するために最も重要となる特定の機能についても説明します。その機能とは、病原性物質の分子レベルの漏れも防ぐシーリング技術です。
 
また、ここ数十年で発生した、より深刻な事故についても振り返ってみましょう。まず、インフルエンザウイルスによるとされる1977年の「ロシア風邪」のパンデミックです。約70万人が亡くなり、北東アジアのラボからの漏出によるものと考えられるアウトブレイクでした。
 
1994年にコネチカット州ニューヘイブンでも発生しましたが、幸いなことに死亡者はありませんでした。イエール大学医学大学院のBLS-3施設の研究者が、異常な出血熱にかかりました。これは、この研究者が遠心分離機を使用中に、サビアアレナウイルスの培養物を含んだ試験管を破損してから2週間後のことでした。
 
それまでは、サビアアレナウイルスは南米の熱帯地方でのみ発見されていました。コネチカット州で発生したこの感染は、警鐘を鳴らす出来事でした。研究者は治療を受け、回復しましたが、この事故により、イエール大学のバイオセーフティプロトコルに新しい慣例や手順が数多く追加されました。
 
2000年以降、主要な病原性イベントが次々と発生しました。2002~2003年には、SARSウイルス(後にCOVID-19を引き起こす原因となる)が流行しました。その少し後にH5N1鳥インフルエンザ、数年後には豚インフルエンザが流行しました。2014年のエボラのアウトブレイクに続き、2015年にはMERSが発生しました。しかし、これらすべては甚大な被害をもたらしているCOVID-19(その後オミクロン株などの変異株が出現)の前兆に過ぎませんでした。
 
この期間中、驚くほどにラッサ熱とデング熱の伝染病もソーシャルメディアで報告されました。これらのアウトブレイクは主にアフリカの特定の国々に限られますが、この報告書により、世界中のバイオリサーチ施設でも漏出が発生する可能性があると世間の不安が高まりました。
 
 
比較的に短期間での病原体の悪評を考えれば、ラボのバイオセーフティを直ちに強化する必要があると考えるのも不思議ではありません。しかし、ラボの作業が減ることはありません。例えば、新しい疾患には新しい抗生物質が必要です。微生物は常に進化し、変異するため、抗生物質耐性の増加は終わりのない課題です。
 
強調すべき点として、米国バイオセーフティ学会は、50年前に遡る既知のラボからの漏出に関するデータを深く掘り下げ、関連する特定の病原体と関連づけてきました。次ぎの表をご覧ください。
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それでは、特定の機械(オーハウスコーポレーションのラボ用遠心分離機)を例にとります。ドイツで設計されたこれらの製品は、現在、この産業での最先端技術を象徴しています。
 
これらの機械は、特に閉鎖空間で有害となり、空気感染する病原体の脅威に特に適しています。遠心分離は、配合、混合、粉砕、振とう、攪拌、超音波処理などラボでのあらゆるプロセスと同様に、病原体を空気中に放出する可能性があるため、厳格な安全対策を設計に組み込む必要があります。
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特に高速遠心分離では、チューブのキャップが外れたり、破損した場合、またはローターの蓋がバイオシール(オーハウスがシーリング技術に使用する用語)されていない場合、エアロゾルが生成され、漏出するリスクが高くなります。オーハウスのFrontier™ 5000シリーズ遠心分離機の大半のモデルでは、マイクロチューブ用のバイオシールエンジェルローターや、サンプル量が多い場合にローターをスイングアウトするバイオシールバケットなどの生物学的封じ込めアクセサリを提供しています。

オーハウスのバイオシールローターは、市販前にドイツ規格協会(DIN)による厳格な試験を受け、関連する国際規格DIN EN 61010-2-020:03-2007の適合認証を取得しています。

微生物学者、生命科学者、特にラボでBSL-3やBSL-4レベルでの重要な作業を行う専門家は、潜在的に危険な微生物がいる環境に定期的にいるため、このような保証は重要です。一般市民の利益のために尽力する彼らは、尊敬に値します。彼らが安心して使用できるように、機器の安全性と信頼性を保証すべきです。

とはいえ、ラボでのバイオセーフティに関する議論では、人的要因を軽視することできません。このため、国際機関、地域の協会、業界トップのメーカーは、安全性向上のための優れた基準とラボでの慣習について認識を高めることを目指しています。もちろん、人がミスを犯すことは避けられませんが、頻繁に注意喚起することで、可能な限り発生頻度を減少することができます。また、ラボ用遠心分離機の場合、特に以下の点に注意する必要があります。
  • ロータの蓋が適切に固定されていることを確認する。
  • ローターに過負荷をかけない。
  • バケットが正しくフックで留められ、自由にスイングできることを確認する。
  • バケットがない状態でスイングバケットローターを回転させない。
  • 遠心分離チューブがローター内で十分にバランスがとれていることを確認する。

バイオシールソリューションについては、以下の表で最適なソリューションをご覧ください。​
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